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半島を出よ  中間の感想


半島を出よ」という村上龍の小説を読みました。
おもしろいですよ。ちょっと量がありますが。

上下巻でして、まだ下巻の途中なのですけど
たぶんもうここからは完全に小説なのだろうなと
(最初っからフィクションですけどね)
な〜んとなく話が読めてきそうな展開なので
後は気軽に読もうと思って、ここで感想を書いちゃおうかなと。


ちょっとアウトラインにも触れちゃいますが、
物語のネタバレはしません。
(途中までしか読み終えてませんし)





近未来。

日本は経済がドカーンと落ち込み、世界の中でもまったく影響力を保てない
国に転げ落ちてしまった所から物語は始まります。

そんな折に
北朝鮮の精鋭部隊が、北朝鮮の「反乱軍」という名目で
日本の福岡を武力をもって制圧・占領します。
この反乱軍というのがこの計画の肝でして
精鋭部隊が自身を反乱軍である。日本よ、協力しようじゃないかと言い
北朝鮮そのものも、けしからん反乱軍であるのだから
攻撃しちゃっても構わんよなんて声明を出しちゃうものだから
日本政府は外交的にはなんとも手の打ちようがないわけですね。

じゃあ、精鋭部隊を攻撃しちゃえばいいじゃんって話なんですけど
事、国防に関してはまったく平和ボケしちゃってる日本人なので
あっさり精鋭部隊に密入国されるわ、市民を人質にされ攻撃しようにも
その仕方がわかんないというなんとも泥沼に陥っちゃうわけです。


さて、ここでしきりに小説内で出てくる言葉が
「国を司るためには大事をとるために小事を犠牲にしなければならない」
というものです。

ふーむ。考え込んでしまいます。


今回の話では(まだ途中ですけど)
危機感の希薄から(平和ボケしてますから)
おまけに日本は元寇以外国内侵略というものを経験していないので
およそ数百人の犠牲者を出る事を恐れて3万人が人質になってしまいます。
3万人って言ったら大人数ですよ。
そしてさらにその3万人の犠牲者を出すなんて言語道断って事から
福岡という地方都市を隔離するような結論を出します。
でも陸続きの福岡だけ隔離は困難ですので、結果的に九州全土を
日本から隔離します。


もうここまで来ると悪夢です。
ズルズルと被害はどんどん広がる。
おまけにこの話の世界では、日本は経済が壊滅的なので
アメリカを含め世界中からそっぽを向かれちゃってますので
さらに悪夢です。にっちもさっちもいかない。


こんな状況下におかれた日本の執行部の苦悩は
想像するだけでも吐き気がしそうですよね。
この小説内では、困難な状況の中で
「最優先事項の決定」というプロセスが踏まれない事が
状況を悪化させているという流れです。


何を最優先させるべきかという事が決まらないので
そのためには多少の犠牲もやむなし!という判断ができないわけです。


「最優先事項の決定」

容易いことではありませんよ。
できる限りの情報収集、情報の選別、分析、全体の把握
そして決断を持って最優先事項を決定させなければいけないんですから。


会社の経営もまったく同じです。
いかにトップが重要なのかって思うと震えてきちゃいますよ。
企業がリストラを行う際に、どれだけ苦渋の選択なのかは
リストラされる側にはあまり理解されていないのだろうなと思いますし。
なにより決断をしなければいけないということの
重責はそりゃもうきっついものがありますね。


さて、もうひとつ。

「平和ボケ」

これって思った以上に深刻な事かもしれません。
今回の話はね、書き手の進め方に騙されちゃったとしても
かなり現実感があります。こうなる可能性は大なり小なりあるぞと
思わされてしまいます。
憲法9条の議論にしても
ちゃんと色んな事を考えて発言してんのかな〜なんて思ってしまう
おばちゃん達の党もあったりして。
あれって支持層に女性が多いからという理由だけなんじゃない?

それはさておき。
日本は平和。
だから他の国も平和に違いない。
いやいや、実は他の国が平和じゃなくても
自分達には関係ないやってのが本当のところでしょうか。

民間企業がリストラを断行し、所得の格差も生まれ
それこそのんべんたらりと仕事をしていられなくなった今の時代でも
まだまだお役人さんたちはそのトレンドに現実感を持たず
その事に対しては世論で
そりゃ、おかしーだろ。もっと官もリストラをやりなさいや!
って言ってるのと同じでしょ?
公務員は一生安泰なんておかしいでしょ?
時代の波と逆走してるでしょ?


きっとそういうのと一緒だと思いますよ。


平和、戦争、国防、国家、人類、貧富。
いろいろ考えちゃいますね。


本も途中までしか読み終えてないので、
感想もこりゃまた中途半端におわり(笑


読み終えたらまた感想文を書く予定。

たぶん。
by blue-rosso | 2006-04-03 22:16 | Book
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